spaghetti vabune!「Guitar Pop Grand Prix」
「青春時代はいつか必ず終わる」なんて言った人がいたけど、本当にそうなのかな‥‥十代後半にそんな疑問を持ち始めてから、気づけば10数年経ってしまったけどさ。本当に終わってしまったのかどうか、他人から見れば終わってるのかもれいないけど、だけどひとつだけ確信を持てたことがあって。それは自分自身が確固とした自信さえ持ち続けていれば、青春時代はずーっと続くんじゃないか、ってこと。
Spaghetti Vabune!の楽曲は、いつでもそんなことを思い出させてくれて、そして聴いてる人たちを勇気づけてくれる。それは「生涯ずっと青春時代！」という信念を持ち続けている（のかどうかは本人に聞いたことがないのでわからないけど）ケージくんと、そして今まさに青春時代を謳歌しているバンドのメンバーとが絶妙なバランスで噛み合って、どこにもないようなハーモニーを生み出しているからなんだろうなぁ。
1stアルバム「summer vacation, sunset vehicle」から早３年３ヶ月、EP「eight players e.p.」から数えても約２年ぶりの音源集となる待望の2ndアルバム「GUITAR POP GRAND PRIX」。誰もが待ち望み、そして誰もが「青春不足」を感じてる今だからこそ必要な１枚だったんじゃないかな。ほかの何ものにも代えようがない存在、それがSpaghetti Vabune!なんだと思う。
この新作はすでにライブではキラーチューンと化している "tiger" や "view" のようなナンバーはもちろん、アルバムの（そしてバビューンの）テーマ曲とも言える "this is guitar pop!!" といった胸キュンナンバーが目白押しで、最初から最後まで笑顔が耐えない１枚に仕上がってます。ケージくんの声は力強さとしなやかさがより増しているし、チイコちゃんのキュートさは過去の作品よりも倍増してる。モリくん・マコトくんのリズム隊も以前より強力になったし、ケージくん・ムラカミくん・ウメノくんのギターはこれまで以上にソリッドになってる。って要するに何が言いたいのかというと、このアルバムは普段彼らがやってるライブでのバビューンにより近づいたんじゃないかな、ってこと。これまでのアルバムもスタジオ作品としての完成度は高かったけど、僕はそれ以上に彼らのライブが大好きで。このアルバムを聴いたときに最初に頭に浮かんだのは、６人がステージ上で楽しそうにライブをやってる姿だったのね。この「GUITAR POP GRAND PRIX」はもっとも今の彼らに近い、等身大のアルバムなんだろうなぁ。ミュージシャンとしての成長をしっかりと記録しつつも、初心は一切忘れていない。それだけではなく、さらに原点回帰してるような印象さえ与える（2ndアルバムにして原点回帰っていう言い方もおかしいんだけど）。バビューンはまたさらにすごいアルバムを作っちゃったよ！
今、「ネオ渋谷系」とかいうジャンル（？）があるみたいだけど‥‥ゴメンなさい、正直そういうのには興味がないんだな。「○×□（ジャンル名）だから好き」なんじゃなくて、「バビューンだから好きっ！」なんだよね、このアルバムを手にした人たちは。さらにアルバムリリースを前にして実施された "prime plumstar" のネット先行リリースで、初めてバビューンの曲を耳にしたという人も多いはず。そしてあの曲にちょっとでも自分の中で引っかかるものがあったなら、悪いことは言いません。ぜひこのアルバムを聴いてみてください。あなたがもっと知らないようなバビューンの魅力が、これでもか！ってくらいにたくさん詰め込まれているから。
すでに彼らはこのアルバムで、ネオ渋谷系でもインディーギターポップでもなんでもない、「Spaghetti Vabune!」というひとつのジャンルを作り上げてしまったんじゃないかな。言い過ぎって言われるかもしれないけど、このアルバムを前にしたらそう思わざるを得ないでしょう。
このアルバムだけで白米５杯は軽くいける。オカズなんていりませんよ、もう笑顔でガッツリいただけます。そう、バビューンはいつだって僕らにとびっきりの笑顔と至福の時間を提供してくれる、最高のバンドなんだから。