01 / 02 / 03   next >>
 2ndアルバム「GUITAR POP GRAN DPRIX」のレコ発ツアーファイナル「NEST CUP」の前日に東京入りしたspaghetti vabune!のメンバー、ケージさん、チイコさん、森さん、そして新ドラマー筒井さんの4人(残念ながらまことさん、梅野さんは欠席)に、アルバム製作についてじっくりと聞きました。チイコさんがちゃんとしゃべってくれたのが印象的でしたね(笑)。ポッドキャストの棒読みを聴いてどうなることかと心配してましたが、あれは1人でしゃべらなきゃいけないときだけでみんなでしゃべれば大丈夫、なんだそうです。新メンバー筒井さんも入ったばかりとは思えないほど、なじんでましたよ。それではインタビュー、ちょっと長いですがお楽しみ下さい。
インタビュー、文 : 小野慎一郎
――
2ndアルバム、1stから3年ぶり、EP出してからも2年経ってるんですよね。これだけ時間がかかったのはなんでなのかっていうのをまず。
ケージ
:曲作るのに時間がかかったっていうことですかねぇ…。
――
それは曲を完成させるとかじゃなくて、最初の作曲のところから?
ケージ
:いや、曲のアイデアが生まれたらとりあえずそれをスタジオに持って行って、その場の思いつきとかもあるんですけど、わりときっかけを持ち寄ってみんなでアレンジしてっていう作り方をしてるんで。そのアレンジを作っていく段階で、すごく煮詰まったりとか…。できるときはすぐポーンとできたりするんですけど。
チイコ
:1stだとリーダーが、あらかたこんなイメージっていうのを持ってきて、それにみんなが合わせるっていう形が元々あって。
ケージ
:最初のvabuneのメンバーはみんなバンド初心者だったんで、コード進行・メロディ・歌詞、もちろん構成もすべて作って、打ち込みでデモテープ作って、これやりましょうみたいなかんじでやってたんですよね。でもまこっちゃんとか森くんとか入ってからは、そういう作り方じゃなくて、きっかけだけスタジオに持って行って。
チイコ
:みんなで、メロディさえスタジオで作るかんじでやってて。それが1stだと半々ぐらいっていうか混ざってたんですけど、それからみんなで作るっていうのをやりはじめて。EPのときがいちばん過渡期っていうか苦戦してて、だんだんちょっとずつ、みんなでポップソングを作るっていうのができるようになってきて。で、梅野くんが去年入った時点で、曲きっかけを作れるのが2人から3人に変わったっていうのもあって、そこでガーっとだんだんスピードが。
ケージ
:2ndに入ってる曲の半分は梅野くんが入る前にできた曲で、半分は梅野くんが入ってからできた曲で。
:半分以上なんちゃうかなぁ。
ケージ
:あーそっか、ボツになったからね、その前の曲わりと。
チイコ
:そやねー。
――
あー、ボツになった曲あるんですか。
ケージ
:ありますね。ライブでやってたけど、けっきょく録らなかった曲とか。何かもの足りなかった部分が。
――
ずーっとケージさんの書いてるブログを見ると、レコーディング何日目とかいって、70〜80日目ぐらいまでやってましたよね。すごい日数もう、やってるわけじゃないですか。あれ何やってんだろう?っていう。
ケージ
:だいたい1日にひとパート録って、1曲録ってるってかんじで。たとえば5パート6パートあるとしたら、掛ける10曲、12曲だったらそのくらいの日数になる計算ですね。
――
わりと試行錯誤して難航してたってのは、そのレコーディングに入る前の。
チイコ
:前ですね。
ケージ
:そうですね。レコーディングじゃあ取り掛かろっかっていう段階までにすごい時間かかった、よね?
:うんうん、取り掛かったらそんなにけっきょく時間かからない…
チイコ
:アルバムに向けて曲作りをしてたっていうよりかは、ライブをしてて、ライブのためにけっこうしてた感じやったっけ?
ケージ
:そやね。だから「prime plumstar」ができたぐらいに、もうレコーディングできるっていう。
――
それいつごろ?
ケージ
:去年の8月。
チイコ
:いっかいその1年くらい前に、じゃあアルバム録ろっかって。
ケージ
:そう村上くんと5人で、村上くんがいる時にまだ。
チイコ
:やったんですけど、ちょっと弱いんじゃない?って、ひぐま社長に。曲としてまだちょっと、もうちょっと考え直したほうがいいんじゃない?って。そこでポップソングをもうちょっと作ったほうがいいかなぁって、自分たちでも判断して。
ケージ
:2004年の夏の終わりくらいから、レコーディングをしたんですよ。いったん録ったんですけど、そのときに録った曲でそのまま2ndに入ってるのは「tiger」だけです。そこで一回頓挫してるっていうか。
――
それで今回もうアルバム作れるなって思ったのは…
ケージ
:僕の記憶では「prime plumstar」ができた時に、ああもう大丈夫だっていう気がしましたね。
チイコ
:うんうん。
ケージ
:梅野くんが入って、梅野くんがきっかけで「prime plumstar」ができて。そのときに、「あ、だいじょぶ」って。
――
じゃあわりと、梅野さんが入ったってのはでかいというか。
ケージ
:大きいですね。
森・チイコ
:うんうんうん。
――
他にはなにか、梅野さんが入ったからこんな風に動いたなぁみたいなのは。
ケージ
:ずっとvabuneって、僕が歌うっていうのもあったんで、僕がカッティングをして、村上くんがリフを弾くっていう、そういう構成だったんですけど。僕はストラトをカッティングして、村上くんがES335っていうギターでフレーズを弾くっていう、ギターの種類もそれに適してたんですけど、梅野くんは僕と同じストラトだったんですよね。それで梅野くんもカッティングをするようになって、曲のきっかけを作る、コード進行で持ってくるっていう。そうすると僕はカッティングじゃなくて、フレーズを弾くようになったんですよ。僕がフレーズを弾くことで、たとえば「prime plumstar」のイントロのギターとか、「TYO」のフレーズとか。梅野くんが入ったことでアレンジ面で大きく変わったことですね。
――
自由度が増すというか、いろいろできるように。
ケージ
:だからやっぱ、単純に幅が広がった。
チイコ
:あ、あとchocoでリリースを一回したっていうのも、おっきいですね、自分では。chocoを始めたことで曲作りを昔よりいっぱいするように家でなって、で、作ってみたら「あ、これchocoじゃなくてvabuneやわ」みたいに(笑)
――
ああー、それはどういうところに判断基準が。
チイコ
:えとねー、現実的な曲がvabune。で、非現実的なのがchoco。まったりと。
ケージ
:童話っぽいとchocoで、リアルな小説っぽいとvabuneみたいな。
チイコ
:うんうんうん。
――
でもチイコさんの考えるリアルっていうのが(笑)、なんか他の人とずれてそうな気がするのですが。
チイコ
:(笑)独自やけど、うーん、どうかな。でもほんとにそんときの感覚で。
ケージ
:でも「view」はもともとchocoの曲だし、「cp」ももともとchocoの曲。
――
あ、「cp」もそうなんですか。
ケージ
:chocoの曲のコード進行に、僕がぜんぜん違うメロディーをのせて、ドラムとベースがああいう雰囲気を作って、っていう作り方をしたんです。「cp」は同じコード進行でぜんぜん違うメロディーの、chocoの曲が存在するんです。
チイコ
:そうそうそう。
――
ほー、「cp」はわりとケージさんぽいというか。
ケージ
:それはメロディーが僕なので。ですけどコード進行は完全に、僕がぜんぜん思いつかないコード進行で。
――
そうそう、思いつかないコード進行といえば、チイコさんのなんですけど。リーダー曰く「おかしいよ」っていう(笑)
ケージ
:いや、僕だけじゃないですよ。ギター弾くひとはみんな言います。
――
あれわざとヘンにしようとしてるんですよね?
チイコ
:あの、いや、私コード知らないんですけど、そこにギターを与えられて弾いてみて、いい響きのやつを並べてるだけなんですよ。
――
でもそういうふうにやると、もっと普通の曲ができると思うんですよ。ヘンにしようと思って適当に弾いても、ああいう風にはならないでしょう、みたいなかんじがあって。
チイコ
:たぶん自分の好みがちょっとヘンなのが…ちょっとヘンでちょっとかわいいのが。
――
あ、自分的には「ちょっとヘン」ぐらいだと思ってるわけですね。
チイコ
:(大笑)
――
あれはねぇ、そうとうヘンなんですよ(笑)
チイコ
:好き、なんですよね、なんか。
ケージ
:でもカトリック系の中高で、賛美歌にずっと接してたっていうのが。
チイコ
:そう、6年間毎朝、賛美歌うたってたり、あとバレエをずっとやってたんで、クラシックが、その…
ケージ
:クラシックに触れてる機会がすごい多かったっていうので。普通の僕らみたいにポップとかそういうのに染まってないんですよね、そういうフォーマットに。
――
じゃあクラシックの音の動き方とか、そういうのが出てるっていうのは…
チイコ
:かもしれないですね。
ケージ
:可能性としてはありますよね。
チイコ
:あんまり自分では意識してないし。
――
いまのでなんとなく、いままで明かされなかった秘密が、
チイコ
:あー、なんでそうやったんかっていうのが。
ケージ
:僕はたぶんそうなんじゃないかっていう気がすごいしてて。
:チイがchocoで自分の好きなことをやってもうたから、vabuneで自分の好きなことだけやりたいっていう気持ちがそれてもうたと思う、たぶん。
チイコ
:あー、あるんかなぁ。
:いちばん大きいんかなぁと思う。そういった意味でポップソング作るっていう気持ちになったっていう。
チイコ
:そうですね。いままでは自分のヘンなものが好きで、それを発表する場としてvabuneに、こういうコード進行とか送ってたけど、最後にできた「wendy」とかは、ほんとに完璧にポップソングを作ろうと思ってメロディを作ったりしてたんで。

登場メンバー紹介

トクダケージ
ボーカル・ギター担当。バビュンのリーダーであり最年長。2ndアルバムではほぼ全ての日本語詞を担当。メンバーで唯一リアルタイムに90年代の渋谷系・ギターポップを経験。
chee(チイコ)
ボーカル・コーラス・おもちゃ楽器全般担当。作曲はもとより2ndアルバムではアートワーク全般を行う。イラストレーターとしても活躍しつつ自身のソロユニットchocoでも作詞作曲演奏歌唱アートワーク全てを手がける。
モリケイタ
ドラムス・パーカッション担当。2006年4月より名古屋在住となりバビュンのレギュラーの座から退くも時々パーカッション、MCとしてライブに参加。ライブMC時に登場する「(牛)パペットもりくん」の声優としての人気も高い。
ツツイユースケ
2006年4月よりサポートドラマーとして参加、同年8月正式加入。幼い頃よりピアノを習い絶対音感を持つ。ドラム以外にも鍵盤はもちろん、吹奏楽器、弦楽器を演奏するマルチプレイヤー。バビュン最年少。リーダーとの年の差は9!